J.Becker (グランドピアノ)

 

製造国 ロシア 

製造年 1905年頃 

所蔵   安城市  

修復  2015年(平成27年)

 

 

このピアノは・・・

 

このピアノは、愛知県安城市の安城高等女学校(現在安城高校)が所蔵していたもので、童話「ごんぎつね」などで有名な児童文学者の新美南吉(にいみなんきち)が同校の教員をしていた時代に使われていました。

1938年に24歳で同校に赴任した南吉は、クラシック音楽を好み、生徒たちとの合唱も好きだったそうで、ピアノを題材とした次の2つの俳句を残しています。

講堂に ピアノ鳴りやみ 秋の薔薇

けどほさや ピアノのとどく 秋の薔薇

このピアノは校舎建て替えの際に払い下げられ、長らく農家の納屋で保管されていましたが、2013年の南吉誕生100年の際に安城市に寄贈され、縁あって当工房で修復することとなりました。納屋での保管時に雨漏りによる腐食がひどく、修理不可能と思われる状態でご相談いただきましたが、1年8ヶ月かけて復元修理を行い、オリジナルに近い繊細な音色を再現することが出来ました。

現在、愛知県安城市にあるアンフォーレ1Fエントランスに展示されており、演奏会も行われています。

​展示の様子はこちら(外部サイトにリンクします)

 

 

 

J・Becker社とは・・・

 

J.Becker(ヤコブ・ベッカー)社はロシアのピアノメーカーの中でも最も優良なメーカーで、1896年からロシア皇帝陛下の宮廷御用達になり、宮廷の紋章が響板に描かれています。アントン・ルビンシュタインや、ピョートル・チャイコフスキーも使用していました。

ロシアのクリンにあるチャイコフスキー記念館には、チャイコフスキーが「交響曲第6番」や「くるみ割り人形」を作曲した時に使用したピアノが現存しており、それはこのピアノと同型のものです。

​ちなみに、チャイコフスキー記念館のピアノは、チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門の入賞者のみが演奏できるという特典のあるものだそうです。 

新美南吉とは・・・

 

にいみなんきち 児童文学者

1913年(大正2年)〜1943年(昭和18年)

本名:新美正八(にいみしょうはち)

愛知県知多郡半田町(現在の半田町)出身

東京外国語大学英語部文化卒業

代表作:「ごんぎつね」「手袋を買いに」他

 

ショールーム外観